シュウハチロウの気になるルール:団体球技における試合の進行管理方法
シュウハチロウの気になるルール:団体球技における試合の進行管理方法
今回は、団体球技の球技別の進行管理方法の違いについてみて見る。
団体球技における試合の進行管理は、時間によるもの・得点によるもの・回数によるもの三つに分けられる。(以下、これらを「時間制」「得点制」「回数制」という)
このうち一番多いのが時間制の球技で、サッカー・ラグビー・アメフト・バスケットボール・ハンドボール・ホッケー・アイスホッケー・水球などがある。これらの球技は試合時間が1試合何分というふうに決められている。
得点制の球技はテニス・卓球・バドミントンなど個人球技が多く、団体球技ではバレーボールくらいだ。これらの球技は、何点とればセットを得て何セットとれば勝利するという二段階(テニスは三段階)制になっている。
回数制の球技もゴルフ・ボーリングなど個人球技が多く、団体球技では日本で行われるのは野球くらいだ。これらの球技は、野球は9イニング、ゴルフは18ホール、ボーリングは10フレームというふうに各チームまたは各選手に一定の回数プレーする機会が与えられている。決められた回数のプレーが完了すると試合終了となる。
得点制の球技は、個人球技も団体球技も、いずれもネットをはさんで両チーム(または両選手)がボールを打ち合う競技だ。一方がサーブを行い、相手がそれを打ち返し、両者が交互に打ち合い、打ち返せなかったときプレーは終了となるが、最後に打った球が相手コート内に落ちれば打った側のポイントとなり、それ以外の場所に落ちれば相手側のポイントとなる。各球技の違いは、ノーバウンドで返さなければならないかワンバウンドまで許されるか、あるいは、1回で返さなければならないか3回までに返せばよいかという点である。
サーブの開始からプレーの終了まで数秒から数十秒で終わる。そして1プレーごとに必ず優劣がつく。サイドアウト制をとっていたころのバレーボールは、プレーが終了しても得点にならずサーブ権が移動するだけの場合があったが、ひとつのプレーで必ず優劣がつくという点は同様である。これらの球技は時間が経過するにつれて得点も増加していくので、試合の進行を得点によるのは合理性がある。
時間制や回数制の球技ではそうはいかない。すぐに得点が入るケースもあればなかなか点が入らないケースもあるからだ。成立当初野球は先に21点上げた方が勝ちというルールで、サッカーは先に1点をあげた方が勝ちというルールであったが、試合時間のばらつきが大きかっただろう。これらの球技は得点制にそぐわない。
回数制の球技は、両チーム(または両選手)は一定の回数プレーする機会が与えられており、時間が経過するにつれて回数も進んでいくので、試合進行を回数とすることに合理性がある。
時間制の球技は、1プレーごとに必ず優劣がつくわけではないので時間の経過とともに得点が増加していくとは限らず、両者に同じ回数プレーする機会が与えられているわけでもない。時間以外に試合の進行をあらわす指標がない球技である。しかし、試合の進行を時間としたために試合時間がどの試合も一定となったことは時間制球技の大きなメリットである。得点制や回数制のように試合時間が一定していない球技は、テレビ放送をしずらく、いつ終わるかわからないので帰りの交通機関も心配となり、同じ日に複数の試合を行う場合は二試合目以降の開始時間もわからない。だからといって、セットの途中やインニングの途中で終了するわけにもいかない。一方、時間制球技の弱点は時間稼ぎができる点である。得点制や回数制� �球技は時間稼ぎが不可能だ。
これらの中でアメフトは特殊だ。アメフトは野球と似ている。野球は攻撃側と守備側に分かれ、攻撃側は1回の攻撃で3アウトになるまで連続して何人でも打席に立つことができる。アメフトも攻撃側と守備側に分かれ、攻撃側は4回連続して攻撃する権利が与えられている。4回の攻撃で10ヤード以上前進すれば、さらに4回攻撃する権利が与えられる。
しかし、野球は回数制なのにアメフトは時間制だ。アメフトは、攻撃の途中であっても時間がくれば試合は終了する。アメフトには、リードしている側が攻撃権を確保しながら時間を消費し相手側に攻撃する時間をほとんど与えないようにする戦術がある。それが可能なのは、終了すると同時に時計も止まるプレーと、終了しても時計が止まらないプレーがあり、それらのうちどちらのプレーを選択するかにより、時間の進み方を調整することが可能だからだ。これは野球にたとえて言うと、リードしているチームが9回の表の攻撃でたっぷりと時間を使って9回表の途中で試合を終了させ、リードされているチームの9回裏の攻撃の機会が失われてしまうようなものだ。
アメフトでは、時間をうまく使って相手に反撃する時間を与えない戦い方ができるかどうかが醍醐味の一つとなっているが、他の球技のファンからすれば違和感を持ってしまうのではないだろうか。
0 コメント:
コメントを投稿